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交番でお金を借りる公衆接遇弁償費とは?お金がなくて困っている人に制度の詳細や使い方を紹介

交番でお金借りる

トラブルに見舞われて家に帰れず困っている人に向けて、交番でお金を借りられる制度があります。

「出先で財布を落としてしまい、交通費がなくて帰れない」といったトラブルは、誰にでも起こり得るものです。

どうしても対処法がなく困っている時に交番に駆け込めば、お金を借りられる可能性があります。

この記事では、交番や警察署でお金を借りる制度の詳細や、実際の借り方をご紹介。

緊急時に役立つ情報も掲載しているので、家に帰るお金がなくて困っている人は参考にしてください。

目次

公衆接遇弁償費は緊急時にのみ貸付が認められる制度

あまり知られていませんが、日本では緊急時に交番や警察でお金を借りられる制度があります。

公衆接遇弁償費(こうしゅうせつぐうべんしょうひ)と言い、緊急時にのみ貸付が認められる制度です。

公衆接遇弁償費の制度詳細
借入可能金額 原則1,000円
※例外あり
利息、金利 なし
利用可能年齢 制限なし
※未成年の場合は保護者の同意が必要
借入条件 警視庁で定めた、緊急性が認められる場合かつ、公衆接遇弁償費以外に対処法がない場合

財布を落としたり盗まれたりして家に帰れない人の交通費や、市民が事故や事件の対応に協力する際に必要なお金を貸し付けてくれます。

特に利用機会が多いのは、財布を落としたりなくしたりしたタイミングでしょう。

緊急時に駆け込み寺として使える便利な制度ですが、借入条件や金額は厳しく定められています。

公衆接遇弁償費の利用条件、制度の詳細について詳しく解説していきます。

公衆接遇弁償費は全国どこでも利用できるわけではない

交番や警察署は全国にありますが、公衆接遇弁償費は全国どこでも利用できるわけではありません。

公衆接遇弁償費はもともと警視庁が定めた制度であり、厳密に言うと対象地域は東京都のみです。

警視庁が定めた公衆接遇弁償費に倣う形で、他の地域でも同様の制度を定めていますが、全国すべてではありません。

現在、公衆接遇弁償費またはそれに準ずる制度が明確に定められているのは以下の12都道府県のみです。

地域 都道府県
北海道・東北 北海道、岩手県
関東 東京都、群馬県、茨城県
中部・北陸 石川県
関西 大阪府、京都府、山梨県
九州・沖縄 熊本県、山口県、鹿児島県

上記の都道府県では正式に制度が認められているので、警察や交番に駆け込んでも制度に則って対応してもらえるでしょう。

しかし、上記以外の都道府県では明確な取り決めがないため、各警察官の判断に委ねられてしまいます。

公衆接遇弁償費は交番や警察署以外でも借りられる

公衆接遇弁償費は交番や警察署でお金を借りる制度と認識されていますが、実は警察署以外でも利用できます。

公衆接遇弁償費を受け付けている行政機関は以下の通りです。

  • 交番
  • 警察署
  • 鉄道警察隊分駐所
  • 警ら用無線自動車(パトカー)
  • 白バイ
  • 運転免許試験場
  • 地域安全センター

交番や警察署だけでなく、駅の中にある鉄道警察隊の事務所や運転免許試験場でも利用できます。

駅の中で交通費がないと気付いた時や、運転免許試験場からの交通費がない時でも対応可能。

パトカー、白バイでも対応してくれるので、近くに行政機関の建物がなくても安心です。

ただし、いずれも公衆接遇弁償費の対応以外に多くの業務を抱えています。

対応に時間がかかる場合や、状況によっては融資を断られる場合もあるので注意しましょう。

交番でお金を借りるには正当な理由がないと認められない

公衆接遇弁償費は、誰でも、どんなタイミングでも利用できるわけではありません。

相談を受けた警察官や担当者に、緊急性や正当性が認められた場合のみに利用できます。

公衆接遇弁償費を利用できる条件は、以下のように定められています。

(1)外出先で所持金を盗まれ、又は遺失した者に対する交通費
(2)行方不明者の保護にあたり、応急的な措置に要する経費
(3)行路病人の保護又は交通事故等による負傷者の救護にあたり、一時的応急処置に要する経費
(4)その他公衆接遇の適正を期するために必要とする経費

引用:公衆接遇弁償費事務取扱要綱の制定について

難しく書かれていますが、分かりやすく表記すると公衆接遇弁償費を利用できる条件は以下の通りです。

  • 財布を落とした、盗まれた時に交通費が不足した場合
  • 行方不明者を保護する時にお金が必要な場合
  • 道端で倒れている人や交通事故に遭った人の応急処置にお金が必要な場合

公衆接遇弁償費の利用理由として、財布がなく交通費を用意できない人が最も多いと考えられます。

財布にキャッシュカードを入れている人も多いので、口座にお金が入っていても、手元にお金を用意できない場合が多いです。

お金がなくて帰れない、迎えに来られる人もいない状況で、どうしても変えるための交通費を用意できない時に利用できます。

財布をなくした原因が自分の過失でも、緊急性が認められれば借りられるので相談してみましょう。

財布がなくて困っている人以外が公衆接遇弁償費を利用できるのは、人助けに関わっている時。

行方不明者を保護して、警察署に連れて行くまでに必要な交通費や、怪我をしていた場合の処置費用も対象となります。

また、交通事故に居合わせた人が被害者の処置を行うためにかかった費用も公衆接遇弁償費の対象です。

包帯や薬といった応急処置のために購入した商品のお金や、着替えを購入したお金も返済してくれる可能性があります。

公衆接遇弁償費を利用できないケース

公衆接遇弁償費は、あくまで家に帰れない時の緊急的な対策として利用できる制度です。

お金を使う目的が家に帰る以外の場合、公衆接遇弁償費は利用できないと考えておきましょう。

  • 財布を忘れて友だちと遊ぶお金がない
  • 財布が盗まれてご飯を食べるお金がない

以上のように、家に帰る以外でお金が必要な場合は利用できないので他の方法を検討してください。

また、警察からお金を借りる以外に解決方法がある場合も公衆接遇弁償費を利用できません。

対処方法の一例は以下の通りです。

  • 即日融資できるカードローンで借り入れする
  • 家族や友人に迎えに来てもらう
  • タクシーで自宅に着けばお金を支払える など

警察にお金を貸してほしいと相談しに行くと、まず他の方法がないか解決方法が提示されます。

いずれかの方法で自宅に帰れる場合、公衆接遇弁償費は利用できません。

  • 迎えに来られる家族や友人がいない
  • 自宅にも現金がない
  • カードローンに申し込める時間を過ぎている

以上のように、どんな方法を使っても家に帰る交通費が捻出できなかった場合のみ、公衆接遇弁償費の対象となります。

公衆接遇弁償費で借りられる金額の目安は1,000円

公衆接遇弁償費は緊急時に対応するための費用なので、借りられる金額もかなり制限されています。

警視庁が定める、東京都内の公衆接遇弁償費では、借入金額の上限が原則1,000円です。

東京都内であれば、1,000円あれば電車である程度の場所まで帰れるからだと推測できます。

公衆接遇弁償費を定めている地域では、それぞれの地域ごとに上限金額が違うので覚えておきましょう。

公衆接遇弁償費がある都道府県 借りられる上限金額
北海道 行政機関1ヶ所に対し、1年間で2万円以内
岩手県 500円
東京都 1,000円
群馬県 1,000円
茨城県 具体的な金額の制限なし
石川県 具体的な金額の制限なし
大阪府 具体的な金額の制限なし
京都府 1名に対し1年間で1万円まで
山梨県 3,000円
山口県 具体的な金額の制限なし
熊本県 5,000円
鹿児島県 具体的な金額の制限なし

東京都の金額に則り、他の地域でも公衆接遇弁償費で借りられるお金は1,000円前後までとしている場合が多いです。

岩手県のように原則500円しか借りられない地域もあれば、山梨県や熊本県のように1,000円以上借りられる地域もあります。

北海道は、1回の貸付金額に取り決めはありませんが、1年間で公衆接遇弁償費として使える金額に限度があります。

例えば北海道の交番で1人が5,000円借りた場合、その交番で公衆接遇弁償費を利用する人は15,000円以内の金額しか借りられません。

地域によって対処法が大きく違うので、「必ず借りられる」と過信するのはやめましょう。

事情が認められれば増額もできる

決められた金額内では、家に帰る交通費を賄えない人も多いでしょう。

例えば、愛知県名古屋市内から同じ県内の豊橋市に電車で帰宅する場合、電車賃は1,000円以上かかります。

愛知県で考えると、交番で借りられる金額が1,000円までだった場合、豊橋の自宅まで帰れません。

それだけでなく、遠方に出張している時に財布をなくしてしまった場合も1,000円だけでは対処できません。

公衆接遇弁償費の借入金額が増額できる条件は以下の通り。

  • 増額する正当な理由があると判断した場合
  • 行政機関の責任者が増額を許可した場合

まず、借り入れを相談している担当者に増額が正当であると認めてもらわなければなりません。

先程紹介したように、家に帰るまでの交通費がどうしても1,000円を超える場合は増額の見込みがあります。

しかし、交通費だけでなく飲食費など他の目的で使うための増額は認められません。

公衆接遇弁償費では、増額するために行政機関の取扱主管者から許可を取る必要があります。

各行政機関で公衆接遇弁償費の増額許可を出す権利があるのは、以下の役職です。

行政機関 担当者
警察署、交番 警察署長、地域課長
鉄道警察隊分駐所 鉄道警察隊長
運転免許試験場 運転免許試験場長
地域安全センター 企画課長

以上の取扱主管者は立場が高い人物なので、駆け込んだ交番には駐在していない可能性もあります。

取扱主管者が駐在していない場所や、その場にいない場合は、電話で連絡をとって許可を得なければなりません。

増額する場合、相談してから実際にお金を受け取れるまで時間がかかるので注意しましょう。

急いでいる場合は、公衆接遇弁償費以外の方法を探すのが無難です。

交番でお金の借り方や返し方!今すぐお金が必要で困っている人はチェック

交番でお金を借りる「公衆接遇弁償費」がどのような制度か分かったところで、具体的な借り方や返し方をご紹介します。

困った時に交番でお金を借りられるのは、覚えておくと役に立つライフハックです。

今すぐお金が必要で困っている人も、今後のために知識をつけておきたい人もチェックしておきましょう。

交番でお金を借りる具体的な流れ

まず、交番でお金を借りる方法についてご紹介します。

公衆接遇弁償費の手続きは非常に簡単で、難しいフローはありません。

必ず用意しておかなければならない書類や持ち物もないので、どのタイミングでお金が必要になっても問題ありません。

公衆接遇弁償費の手続き方法

  1. 交番や警察署に行き、お金を貸して欲しい旨とその理由を伝える
  2. 許可が下りたら、借受願書を記入する
  3. 現金と返済書を受け取る
1.交番や警察署に行き、お金を貸して欲しい旨とその理由を伝える

まず、近くの交番や警察署に行って事情を説明しましょう。

交番はその場にいる警察官に相談すればいいですが、大きめの警察署では担当の警察官に引き継がれます。

受付で具体的に状況を説明し、「お金を借りたい」と話せば担当者にすぐ引き継いでもらえるでしょう。

お金がない状況に陥ってしまった原因が自分の不注意でも、公衆接遇弁償費の対象となります。

緊急性が認められれば借りられるので、事情はできる限り詳しく説明してください。

事情を説明した後、大体の担当者は公衆接遇弁償費以外の方法で帰れないか代替案を教えてくれます。

多少面倒でも、代替案が利用できる場合は公衆接遇弁償費の対象になりません。

代替案を含めやむを得ないと判断されれば、公衆接遇弁償費の手続きが始まります。

2.許可が下りたら、借受願書を記入する

公衆接遇弁償費を利用する許可が降りたら、借受願書を記入します。

借受願書とは、警察からお金を借りたと記録する借用書のような書類で、警察署で保管されます。

借受願書に記入する主な内容は以下の通りです。

  • お金を借りた日付
  • 名前
  • 現住所
  • 電話番号
  • 生年月日
  • 公衆接遇弁償費を利用する理由
  • 借入希望額
  • 指印または押印

記入する内容に特別な項目はなく、記入自体はそれほど時間もかかりません。

借受願書には印鑑を押さなければなりませんが、その時に印鑑を持っていなければ指印でも受理してもらえます。

「警察からお金を借りたと家族にバレたくない」「身元を詮索されたくない」といった理由で正しい情報を書きたくない人もいるかもしれません。

しかし、借受願書は警察で保管される正式な書類です。

虚偽情報を書くと詐欺罪に当たる可能性があるので、借受願書には必ず正しい情報を記入しましょう。

公衆接遇弁償費を利用したからと言って、警察からの評判が悪くなったり、日常生活に支障が出たりはしません。

また、このタイミングで身分証明書の提出を求められる場合があります。

公衆接遇弁償費を利用する際は基本的に身分証明書を見せなければならないので、手元にあれば快く応じましょう。

ただし、財布を落としたり盗まれたりしてお金を借りる場合、身分証明書が手元にない人も多いです。

事情があって身分証明書を提出できない時は、身分証明書なしで借りられるので事情を説明してください。

また、財布を落とした人はこのタイミングで一緒に「遺失届」を提出します。

遺失届は、物を落としたりなくした時に書く書類です。

遺失届を出しておくと、なくした財布が届けられた時に連絡をもらえる可能性があるので、届け出しておいて損はありません。

遺失届を出していても必ず連絡がもらえるわけではありません。

財布は拾われてから3ヶ月間持ち主から連絡がないと、拾得者に権利が移ってしまいます。

遺失届を出してからは、定期的に警察に問い合わせをして財布が届いていないか確認するといいでしょう。

3.現金と返済書を受け取る

借受願書が無事受理されたら、現金と返済書を受け取ります。

返済書は、警察で借りたお金を返す時に必要な書類なので、返済が完了するまでなくさないで保管しましょう。

交番で借りたお金の返し方

次に、交番で借りたお金の返し方について詳しく説明します。

公衆接遇弁償費の返済には期限がなく、利息もありません。

そのためいつまで借りていても督促されませんが、放置していても返済義務は発生し続けているので注意しましょう。

公衆接遇弁償費の返済時に必要な持ち物は以下の通りです。

  • 返すお金
  • 返済書

基本的に上記以外のものは必要ありませんが、念の為身分証明書を持っておくと安心です。

公衆接遇弁償費の返済は、基本的に借りた交番や施設で行います。

例えば駅前の交番で借りたら同じ交番に、近くの警察署で借りたら同じ警察署に返済してください。

ただし、出張先で借りた場合のように、距離的な問題で再度同じ交番に行くのが難しい人もいます。

同じ交番に行くのが難しい場合、近くの違う交番や警察署でも返済可能です。

例えば、大阪府に住んでいる人が東京の交番でお金を借りた場合、帰宅後に大阪府内の交番から返済しても受理してもらえます。

身近な場所でも対応してもらえるので、距離を理由に返済を滞らせている人は迅速に返済しましょう。

同じ交番に返済できないと事前にわかっていれば、その旨を伝えておくと親切です。

借りた場所と違う施設で返済する場合、返済書があるとスムーズに話が進みます。

上記の理由からも返済書はとても重要なので、なくさないで保管してください。

また、返済するお金はお釣りが出ないようにぴったり用意しましょう。

電車代を借りる場合、「360円」や「510円」といった端数が発生します。

基本的にお釣りは用意してもらえないので、細かくなってしまっても借りたお金分をしっかり用意してください。

公衆接遇弁償費について知っておきたいポイントと注意点

公衆接遇弁償費の詳細や借り方について詳しく分かったところで、ここからは知っておくべき注意点をご紹介します。

とても便利な制度ですが利用時に注意点もあるので、知らないまま頼りにするとあとで困ってしまう場合もあります。

家に帰るお金がなくパニックになってしまう人も少なくないので、公衆接遇弁償費の注意点は事前にチェックしておきましょう。

公衆接遇弁償費で借りたお金は必ず返さなければならない

当たり前ですが、公衆接遇弁償費で借りたお金は必ず返済する義務があります。

公衆接遇弁償費のお金は「給付」でなく「貸付」です。

警察が好意でお金を貸してくれているだけなので、お金を用意できる環境になったら必ず返済してください。

先程もご紹介した通り、公衆接遇弁償費で借りたお金は利息も督促もありません。

利息がないので借りたお金以上を返す必要もなく、返済ハードルが低いのは大きなメリットです。

督促がない分忘れてしまいがちなので、「どうせ数百円だから」と思わず早めに返済しましょう。

不当な理由で公衆接遇弁償費を利用すると逮捕される可能性がある

公衆接遇弁償費を悪用すると、詐欺として逮捕されてしまう可能性があるので注意しましょう。

これまで紹介してきた通り、公衆接遇弁償費は「事情があって家に帰るお金がない人」「保護や救護に必要な費用」として利用できます。

原則として、上記の条件にそぐわない人はいかなる理由があっても利用できません。

具体的には、以下のような例で公衆接遇弁償費を利用すると、寸借詐欺として逮捕される可能性があります。

公衆接遇弁償費で寸借詐欺となる例

  • 本当は財布やお金を持っているのに、「財布を落とした」と嘘をついて利用する
  • 公衆接遇弁償費以外にお金を用意する方法、または迎えに来てもらう方法があるのに「これ以外に方法がない」と嘘をついて利用する

寸借詐欺とは、相手の善意や好意につけ込んでお金を騙し取る行為です。

公衆接遇弁償費はあくまで警察の善意で用意されている制度なので、嘘を付くと寸借詐欺の対象となります。

「返済の意志がない」と判断されると寸借詐欺として立件できるので、嘘をついてお金借りるのはやめましょう。

返済できれば嘘をついてもいいと思うかも知れませんが、返済の意志があっても嘘をついて利用しないでください。

軽い気持ちで嘘をついてお金を借りてしまった人は、できる限り早く返済しましょう。

警察官のポケットマネーで借りていても返済義務がある

先ほども紹介した通り、公衆接遇弁償費はすべての都道府県で定められているわけではありません。

しかし、公衆接遇弁償費がない地域でもやむを得ない事情が認められるとお金を借りられる場合があります。

公衆接遇弁償費がない地域では、警察官が好意でポケットマネーから貸してくれる事例が多いです。

公衆接遇弁償費とは違い書類を書かずに借りられる場合もあるので、「警察に記録されていないからうやむやになりやすい」と考えている人もいるでしょう。

しかし、警察官はポケットマネーから出したとしても、市民にお金を貸すと上司へ報告しなければならない義務があります。

資金源がポケットマネーでも、市民にお金を貸した旨が記録されるので、実質公衆接遇弁償費と同じ扱いです。

そもそも、公衆接遇弁償費とは「困っている市民にお金を貸すための制度」ではありません。

公衆接遇弁償費は、「困っている市民にポケットマネーからお金を貸した警察官が不利益を被らないよう、警察の資金から保証してあげる」ための制度。

当然返済義務は発生するので、警察官のポケットマネーから借りていても必ず返済してください。

未成年が利用するなら保護者の同意が必要

公衆接遇弁償費は、利用時に年齢制限がありません。

極論、5歳の子どもでも緊急性が認められれば交番でお金を借りられます。

Twitterでは、実際に「11歳の子どもが交番でお金を貸してもらえた」とツイートしている人も見かけました。

しかし、未成年が利用する場合は保護者の同意が必要です。

民法において、「未成年が自分名義で契約するためには保護者の同意が必要」と定められているからです。

保護者の同意なしで未成年が契約すると、不当な契約として保護者が契約を取り消してしまうことも可能に。

契約の取り消しを防ぐためにも、借受願書を記入する前に必ず保護者から同意を取らなければなりません。

未成年が公衆接遇弁償費を利用する際、まず警察から保護者に電話がかかります。

この時に「迎えに来られないか」をまず確認し、迎えが可能な場合は公衆接遇弁償費を利用できません。

事情があり迎えにこれない場合、交番からお金を貸すので「公衆接遇弁償費を利用するための同意」を取られます。

財布を落としてしまったり、お金を借りたりするのを保護者にバレたくない人も多いと思いますが、黙っておくのは難しいので注意しましょう。

公衆接遇弁償費は今後廃止される可能性がある

困ったときの駆け込み寺として重宝されている公衆接遇弁償費ですが、今後廃止される可能性も懸念されています。

公衆接遇弁償費が廃止される理由として主に考えられている内容は以下の通りです。

  • 返済率が悪く、資金を圧迫する可能性がある
  • スマホの普及で、お金を用意する方法が増えた

まず1番大きな理由は、公衆接遇弁償費で借りたお金の返済率が悪いこと。

返済が義務付けられているとは言え、返済の督促は行われません。

返済を忘れてしまっている人や、督促がないのをいいことに返済しないまま放置している人も少なくないと言われています。

公衆接遇弁償費の返済率は7割程度と言われており、3割の人は借りたお金を返していません。

警察の資金源は税金なので、返済されないと「税金が無駄遣いされている」と市民からの印象も良くないでしょう。

この状態が続くと警察の貴重な資金源を圧迫しかねないので、廃止される恐れがあります。

また、現在はスマホアプリの普及で、交番以外でお金を用意する方法が増えてきました。

キャッシュレスアプリやカードローンアプリが増え、手元に財布がなくても即日でお金を用意できるシステムが整っています。

よく調べればお金を工面する方法がいくらでもあるので、公衆接遇弁償費の必要性が以前より低くなっているとも言われています。

現時点ではまだ明確に廃止されると決まっていませんが、近い将来廃止されてもおかしくありません。

今後自分が困ったときに助けてもらえなくなったり、本当に困っている人が途方に暮れてしまうので、必ず返済してください。

これから公衆接遇弁償費を利用する予定の人も、返済義務があると忘れずに利用しましょう。

公衆接遇弁償費は必ずしも全員が利用できるわけではない!

公衆接遇弁償費は利用するために厳しい条件があり、必ずしも全員が利用できるわけではありません。

ここからは、公衆接遇弁償費を利用できなかった時に使える対処法をご紹介します。

以下で紹介する方法は、警察で相談する前にかならず確認しておきましょう。

審査時間内ならスマホからカードローンに申し込む

スマホが手元にある20歳以上の人なら、即日融資に対応しているアプリの利用を検討しましょう。

消費者金融カードローンなら、最短30分ほどでお金を借り入れできます。

融資までの時間は、申込条件や申し込むタイミングによって前後しますが、急いでいる場合優先審査に対応してくれます。

スマホアプリまたはWebサイトから申し込み、コールセンターに電話してください。

「財布がなくて帰るお金がないからすぐに融資したい」と伝えると、迅速に対応してもらえます。

カードローンの審査時間は最大21時まで。

21時より前にお金がないと気付いたら、カードローンを利用するのが無難です。

消費者金融カードローンでは最大18.0%の金利がかかるため、利息を支払いたくない人は申し込みをためらうでしょう。

しかし、大手消費者金融は無利息期間を用意しています。

アイフルやプロミスでは最大30日間、レイクALSAでは最大180日間の無利息期間があります。

無利息期間内に返済すると、利息0円で借り入れできるのでとても便利です。

その日の交通費だけを借りたいなら、翌日以降すぐに返済してしまえば利息はかかりません。

交番でお金を貸してもらうのとほぼ変わらない条件で借りられるので、消費者金融カードローンも検討しましょう。

自宅にお金があるならタクシーで帰る

今手元にお金がなくても家に帰ればお金がある人は少なくないでしょう。

家に帰ればお金を用意できるなら、タクシーの着払いを利用してください。

タクシーで家まで帰り、すぐに家からお金をとってきて支払えばOKです。

目的地に着いた時に「今手元にお金がないのですぐ取りに行く」と伝えれば、自宅前で待っていてもらえます。

すぐに取りに行って支払えば問題ないので、大きなトラブルにもならず対処可能です。

自宅にも現金がない場合、友人に相談してタクシーで友人宅に行き、一旦友人に立て替えてもらう方法もあります。

警察を頼る前に、自分で考えられる方法はすべて試して帰る努力をしましょう。

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